「ガザ 攻撃される医師たち」

ドキュメンタリー映画『ガザ 攻撃される医師たち』 ※10月7日夕、企画展「パレスチナのいまーーガザ、ヨルダン川西岸2023‐26」関連イベントして上映決定(⇒詳細)。 企画展では、この映画の場面を展示します。

ドキュメンタリー映画『ガザ 攻撃される医師たち (Gaza: Doctors Under Attack )』は、2023年10月に始まったイスラエル軍のガザ攻撃で、国際法で保護されているはずの医療機関および医療従事者がいかに組織的な標的とされ、攻撃されたかを検証した記録である。 

ガザ地区に存在する全36箇所の主要病院が被弾、包囲、そして機能不全に追い込まれたプロセスを追い、そこには明確な攻撃パターンが存在したことを暴き出す。まず病院周辺への砲撃や爆撃が行われ、地上部隊や戦車、ブルドーザーが突入。水や電力、医療物資が完全に遮断された極限状態の中で、医療スタッフや患者、避難民が拘留され、最終的に施設が破壊・放棄されるという展開が各地で繰り返された。

ガザを代表する整形外科医は、イスラエル軍に拘束され、裸にされて尋問を受けた後、イスラエルの収容施設で死亡した。本人が生還して証言することはなかったが、映画は拘束前に家族へかけた電話を収録し、子どもたちに母親を支えるよう語る声を伝えている。

さらに映画には、ガザ北部のカマル・アドワン病院長だった小児科医フサム・アブ・サフィヤ医師が登場する。同医師は、病院への攻撃が続くなかでも患者のもとに残った。映画は、2024年12月にイスラエル軍が同病院を制圧した際、白衣を着たアブ・サフィヤ医師が、破壊された建物と瓦礫の間を通り、前方に止まるイスラエル軍の戦車へ一人で歩いていく場面を映し出している。その後、同医師はイスラエル軍に拘束され、いまなお拘束は続いている。

さらに拘留された医師たちが「ブラックサイト(暗黒の拘禁施設)」と呼ばれる監視の行き届かない施設や「セデ・テイマン」軍事基地へ移送され、電気ショックや暴行、性的虐待、さらには一部のイスラエル人医師による懲罰的な手当て拒否や無麻酔での処置といった激しい拷問に晒されていた実態を、告発者や元兵士の証言を交えて浮き彫りにする。

死者に祈りを捧げる医師たち(映画『ガザ 攻撃される医師たち』 」より)

撮影・監督はカリム・シャー、取材・報告はジャーナリストのラミタ・ナヴァイ。ガザ内部の映像はパレスチナ人ジャーナリストらが撮影した。 製作総指揮をナヴァイと元Channel 4 News編集長のベン・デ・ペアが務め、独立系制作会社Basement Filmsが制作した。

本作は当初、BBCがBasement Filmsに委託した作品だった。しかしBBCは2025年6月、「放送すれば、公平性を欠いているとの印象を生み、視聴者が期待する高い基準を満たさない恐れがある」として放送を見送った。

BBCの見送り後、イギリスの地上波公共テレビチャンネル Channel 4が作品を引き受け、独自の事実確認と放送基準の審査を行ったうえで、2025年7月2日に放送した。

本作は2026年5月、英国アカデミー賞(BAFTA)テレビ賞の時事報道部門賞を受賞した。授賞式でナヴァイは、ガザで多数の医療従事者が殺害、拘束されたとする調査結果を挙げ、「これはBBCが資金を出しながら放送を拒否した調査の成果だ。私たちは沈黙させられることも、検閲されることも拒む」と語った。(文責・川上泰徳)

電源が切られ、薄暗い中での手術をする医師たち(映画『ガザ 攻撃される医師たち』 」より)

イスラエルの攻撃によって次々と運び込まれる負傷者(映画『ガザ 攻撃される医師たち』 」より)

本作は、詩人で翻訳家の原口昇平氏が字幕を付け、日本での上映の契約を取得しました。企画展「パレスチナのいまーガザ、ヨルダン川西岸2023-26」の関連イベントである「パレスチナの夜」の2007年10月7日18:00-21:00で上映し、上映後、原口氏のトークも行います。

※⇒上映の詳細:パレスチナの夜

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